地域猫たかおちゃんのケース



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FIPドライタイプと診断された地域猫たかおと漢方のお話し
東京都に住むMです。 美佐子さんのご好意で紹介できる機会を
いただけたので闘病記を書き記したいと思います。
FIPドライタイプを発病し、漢方のみ(動物病院での治療なし)で
回復することが出来ました。
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FIP発病まで

2005年の6月中旬。

地域猫の雄猫1匹が体調を崩していると、地域猫を世話していただいている方(Aさん)から
伺いました。1週間ほど姿を消したと思ったら、食欲もなく大人しくしている。
その後、自分の尻尾を追いかけるような動きを見せたり、真っ直ぐに歩けなくなってしまいました。
そしてまた数日ほど見かけなくなったある日。
首の斜頸と斜視が見られるようになりました。




当初は夏バテかと思っていましたが、素人目から見ても夏バテではないことは分かりました。
地域猫ということもあり、次に姿を見るのがいつになるか定かではないため、
急いで保護して掛かり付けの動物病院に。
獣医師さんに経過を説明し、エイズ/白血病/FIP抗体値を含む一通りの検査を済ませ、下された診断は…
「エイズ/白血病は陰性で、FIP抗体値が1600でした。その他の異常は見られません。
FIPドライタイプの可能性があります(※)」。
FIPは猫エイズと並び予防薬がない病気です。
感染しても発病の可能性は低いけれど、発病したら高確率で死に至る病気として恐れられています。
目の前が真っ暗になりました。
ガン!と頭を叩かれたような衝撃と血の気がサーッと引いていった感覚を覚えています。
というのも、たかおに出会うずっと前(2000年)に元野良の飼い猫NをFIPウェットタイプで
亡くした経験があるからです。
発病当時のNはFIP抗体値6400、腹水がありました。状態が芳しくない中、3ヶ月も闘病に
耐えてくれました。

ーーー外飼いの地域猫に定期的な治療を受けさせることは出来るのか。

帰路の途中、再度降りかかった不治の病にどう向き合ったらいいのかずっと考えていました。

ーーーせめて家で保護出来たら…。

我が家にも、Aさんにも、ご近所の方にも既に飼い猫がいました。
苦しい選択をするしか出来ませんでした。
でも、その中でも出来る限りのことはしてあげたいというのは私も近隣の方も同じでした。
様子を注意深く観察し、何かあったら病院へ連れて行くことになりました。
これが2005年7月15日のことです。

※1…FIPの諸症状として高熱や食欲不振、元気喪失、体重減少などがあります。
ドライタイプでは腎臓や肝臓、膵臓などの消化器障害の他に
神経症状(運動能力の低下、眼が震える、けいれんの発作、斜頸など)が見られます。

※2…血液検査とウィルス検査の他にレントゲンも行いました。
そして、それまでの経過と出ている症状、FIP抗体値の高さ、類似疾患の除外で、
総合的に診断されました。
2008年10月末からは、ケーナインラボという機関で精度の高い
新しい検査が受けられるようになりました。





漢方との出会い



突きつけられた現実に悲しんでいる時間はありません。
私は昼夜を問わず何冊もの猫の飼育書を読みあさり、webで病気について調べました。
入念に調べたのはNの経験があったからだと思います。
調べ始めてから何日か経った頃、愛猫がFIPを患っている方のblogに辿り着きました。
blogを読み進めて行くとFIP治療のために漢方を始めたとのこと。
Nが発病した2000年当時はインターフェロンでの治療しか選択肢がなかったと記憶しています。
ーーー猫に漢方って効くの?効果が出るまでに時間がかかりそうだし…。
漢方薬を飲んだ経験がない私には実感が伴わず、あくまで情報の一つという程度に心に留めておきました。
それまではたかおの食欲も落ちず、さも目立った症状もなかったので安定していると思われました。
しかし、暑さも厳しくなった8月半ば。Aさんからたかおの様子がおかしいと聞きました。
人気がない所で唸り声を上げ、痙攣のような発作を起こしていたそうです。

病院へ連れて行くとNの時と同じでインターフェロンでの治療が主になる、とのことでした。
ーーー5年経っても予防薬/治療薬がないのなら、一か八かで漢方を試してみてはどうか。
このままでは弱っていくのをただ見守るだけになってしまいます。
漢方での治療とはどんなものになるのか想像も付かず不安でしたが
獣医師さんと近隣の方に了承を取り、佐野薬局さんに初めての問診票を送信しました。

■たかおについて
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2005/08/20 11:20
猫の種類…雑種
年齢…2005年8月当時、推定5歳以上
※地域ネコなため正確な年齢は分からず
我が家で室内飼いしているたかおの息子猫が2005年
8月で4歳なのでそこから推測性別と避妊・去勢の有無…雄、(2005年の)4年前に去勢済み
病名・発病時期と病状…猫伝染性腹膜炎(通称FIP)のドライタイプ
FIP検査数値1600(7/15現在)
今年6月中旬くらいから体調を崩す(のに住民が気が付く)
斜頚が認められるが、目の濁りは見受けられない
嘔吐、ひきつけなどの症状は見た限りない
食欲は有り
現在の体重…5kg(夏バテ?なのか少し細くなりました)
病院治療の有無…地域猫なため定期的な治療は困難ですが可能な限りしたいと思っています
食の好み…ドライ・ウェット問わず食べます
食欲の有無…8/20現在有り
病歴…エイズ・白血病は陰性(7/15現在)
その他…食事をしに割と定期的に顔を出すので捕まえることはさほど困難ではありませんが
恐怖心やストレスを与えるような行為はしたくありません
以上のことから、ご飯に混ぜて与えることが出来る漢方だと嬉しいです

以前、飼い猫をFIPで失ったことがあるのですが
投薬や病院へ行くという恐怖心・ストレスを猫に感じさせているのではないかと思い
出来れば自宅で何とかしたいと思っています。
それに加え、患畜が地域猫ということもあって動物病院での定期的な治療が難しいので
普段は漢方やサプリメントなどで免疫力を高めつつ、
急激な症状の高下があった時のみ病院にかかりたいと思っております。
※どうしても緊急を要する場合は病院の対処療法に頼ることになるとは思います。

猫エイズには漢方が効果を期待できるとweb上で知ったのですが
FIPドライタイプ用に処方していただくことは可能でしょうか?
お値段にもよりますが月1くらいで購入できればと考えております。

お忙しい中申し訳ありませんが、ご連絡をいただけますようよろしくお願い申し上げます。
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上記は初めて佐野さんに送ったメール(問診票)です。




初めての漢方

問診票を送信した次の日に美佐子さんから返信をいただきました。
親身で詳しい説明を受けて改めて「がんばってみよう」という思いが湧きました。
処方内容は
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・ササヘルス127ml 1本の中に以下のものを入れます
・晶三仙(消化器官のトラブルに)5包
・シベリア霊芝茶(抗炎症作用、免疫調節作用)6包
・柴胡加竜骨牡蠣湯(脳の異常の調節。斜頚)6g
・田七人参茶(抗炎症作用、血液浄化)5包
・椎菌LEM700mg(抗ウィルス作用) 2包
・板藍茶(抗ウィルス・抗菌作用)作用 5包
1日2〜3回、1日トータル15ml〜20mlを与えます。
1本が約7日〜14日分位。
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というものでした。
食べてくれなかったら強制給餌(投薬)になるのかな…という不安は吹き飛びました。
ササスペ入りのご飯、食べてくれました。ほぼ完食でした。
ニオイをクンクンと嗅いで「…おや?」という顔はしましたが、その後も食べてくれました。
地域猫になると飼い猫よりも強制給餌(投薬)は格段に難しいので、
自分で食べてくれたのは本当に嬉しかったです。
モシャモシャ食べる姿を見て、この調子なら続けられると確信しました。
初めての漢方ご飯が8月下旬でした。





漢方を飲ませ始めて

夏の暑さも引き、朝晩漢方入りのご飯を食べ続けたからでしょうか。
何本目かのササスペを開けた時にはササスペ入りご飯をおかわりまでしてくれるようになりました。
元々食欲旺盛な猫ですが、おかわりはあまりなかったので驚きました
(もちろんササスペ入りのおかわりをあげました)。
私の見ている限り/Aさんや近隣の方の話でも発作は起きていないようでした。
徐々にですが首の斜頸が良くなってきたように見えました。
緊急時に備えて解熱剤として板藍茶+ルミンAを処方していただきましたが、使うこともなく済みました。
この時、秋〜初冬だったと思います。




獣医師さんから思わぬ言葉が

その後もササスペ入りご飯を食べて、無事に年を越すことが出来ました。
以下は当時、美佐子さんに送信したメールです。
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2006/01/30 15:55

佐野薬局さま


FIP地域猫の件でお世話になっております東京都のMです。
昨年は大変お世話になったにもかかわらず、
ご挨拶が遅れてしまい申し訳ございませんでした。
遅くなりましたが、今年もよろしくお願いいたします。

掲示板の方にも報告させていただきましたが
昨夏にFIPドライタイプを発病した地域猫(たかお)の近況報告と
お礼を申し上げたくメールしました。
ササスペシャルを服用して約半年。相変わらず元気に走り回っています
一番驚いたのは目に見えるくらい首が良くなりました。
具体的に言うと、よく見ない限りでは斜頚がわからないくらいになりました。

これにつきましては今度、画像を取って送りますのでご覧になってください。
それから、掛かり付けの獣医さんから「今の食生活を続けてください」との
お言葉をいただきました。
血液検査はしていませんが「恐らく抗体値が下がっているでしょう」とのこと。
過去にFIPで悲しい思いをしていたので、
何秒かは言葉の意味がわからないくらい驚きました。
これも一重に佐野さんと掲示板のみなさんのアドバイスのおかげです。
本当にありがとうございました。
まだ完全に安心することはできませんが、
当初目標としていた半年を無事にクリアできたので
また半年を新たな目標として私も頑張りたいと思います。
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2008年12月現在も健在です(推定8歳〜)。
ちょっと風邪を引いたり、暑さでバテたりもしていますが、食欲も落ちず毛並みもフサフサです。
ササヘルスをご飯に混ぜて与えています。





当時を振り返って
現代の医学を以てしても治療困難な病気を患ってしまった者にとって、
治療の選択肢が一つでも増えるのは本当に心強かったです。

治療中にいただく美佐子さんのメールや、掲示板でいただいた皆さまのアドバイスには必ず
「とにかく薬を身体の中に届けることが大切。ご飯を食べさせることはもっと大切」とありました。
動物病院の獣医師さんも同じ事を何度も言っていました。
薬ももちろん大切だけれども、治療に耐えられる体力が一番大切ですね。
たかおが順調に回復したのも食欲あってこそだったと思います。
ササスペ入りのご飯を食べてくれなかったら…
強制給餌(投薬)によるストレスで姿すら見せなくなっていたかもしれません。
西洋医学/中医学(漢方)は病気へのアプローチ方法が違うだけで
【医食同源】という考えに変わりはないのだと学びました。

たかおのケースは本当に稀なケースに当たるかもしれませんが
同じ病に向き合っている猫さん&飼い主さんの希望の光となれれば幸いです。

2008年12月20日 地域猫たかお の世話人M

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